ChatGPTという存在に、私たちはなぜ愚痴をこぼしてしまうのか?
近年、AI相手に相談する人が増えているそうです。
いったい、それはなぜなのか?
今回の記事では、
「なぜ人はチャットGPTに相談してしまうのか?」について考えてみます。
それについて考える上で、
まずは「なぜ人間相手に相談できないことがあるのか?」を見ていきましょう。
他人に相談できない理由とは?
他人相談する際に、気になるのは「相手にどう思われるか」ではないでしょうか?
「こんなこと言ったら引かれないかな」
「この程度のことで悩んでるんだって思われたら恥ずかしいな」
そして、無意識のうちに、自分の心にブレーキをかけてしまいます。
「我慢しよう」って
人間には“感情”があるからこそ、話をするだけで相手の気分を害したり、
空気が悪くなるリスクもある。
やっとの思いで相談できたとしても、
「でも、それってあなたにも原因あるよね?」と
まったく求めていない、なんの解決にもならない正論で返されてしまうと、
心がさらに疲れてしまいます。
「そうじゃないんだよ」「もういいよ」って
私たちが求めているのは、「正しい答え」ではなくて、
“ただ受け止めてほしい”
それだけなんだと思います。
でもその役割を、人間にお願いするのって、意外と難しいんですよね。
AI相手に相談できる3つの理由
① 否定されない・責められない
ChatGPTに相談したとしても、
「そんなことで悩んでいるなんて」なんて返されることはありません。
「そうだったんですね」
「それは大変でしたね」
そんなふうに、やさしい、共感的な言葉が返ってきます。
なんなら、「もっと話していいよ、”君が良ければ“」
なんてさらに寄り添った回答が返ってきて。
そりゃあ相談したくなりますよね。
人間相手だと、
「そんなこと気にしてるの?」
「私の方がもっと辛い」
「つまり、あなたはなにがいいたいの?」
なんて言ってくることもある。
悩んでる時に「つまり」なんて単語、誰も聞きたくないんです。
人間相手だと、無意識に「否定されるかも」「責められるかも」
と構えてしまう場面でも、AIならその不安がないんです。
② 関係性に影響しない
ChatGPTとの会話には、人間関係のしがらみがありません。
「こんなこと言って気まずくなったらどうしよう」
「あとでこのこと、陰口叩かれないかな」
そういった“人間相手ならではの不安”を感じなくて済むんです。
話した内容が誰かに漏れることもないし、言葉選びにそこまで気を使わなくても大丈夫。
考えがまとまってなくてもいい。
「一回きりの安全な場所」として、
ChatGPTは私たちの心を受け止めてくれる存在になっているのかもしれません。
③ 自分のペースで吐き出せる
それって、結構ありがたいことなんですよね。
相談するときって、タイミングや空気を読むのが本当に難しい。
人と会話しているとき、「今この話しても大丈夫かな?」「相手に余裕あるかな?」って考えて、
結局何も言えなくなってしまうこともあります。
でもChatGPTは、いつでも、どんなときでも、同じ温度で話を聞いてくれる。
自分が話したいときに、話したい分だけ吐き出せる。
愚痴を口にするには、こちらの“心の準備”が必要なときもあるけれど、
AIならそのペースにちゃんと付き合ってくれる。
“誰かに伝えたかった本音”を整理することができる
誰かに悩みを相談する時、
私たちはつい「相手が悪い」「あのときこうだった」という
他者やその時の状況ばかりに意識が向きがちです。
でもChatGPTに向かって吐き出しているうちに、
ふと、自分の気持ちの奥にある“本音”に気づくことがあります。
たとえば――
「上司の言い方がキツくて困っている」
と言っていたはずなのに、
書いていくうちに、
「本当はちゃんと見てほしかっただけなんだ」
と気づく。
「あの人、全然連絡くれないんだけど」
の裏には、
「自分が大切にされていないと感じて、寂しかった」
という気持ちが隠れていたりもします。
ChatGPTは、ただうなずいてくれるだけじゃなくて、
ときに「その気持ちの奥には、何があると思いますか?」と優しく聞いてきたりもする。
AIに相談することは、“誰かに伝えたかった気持ち”を、
一度言葉にしてみるということなのかもしれません。
そしてその体験が、自分の中に眠っていた“本当の願い”や“伝えたかったこと”を、
少しずつほぐしていってくれるんです。
相談相手としてのAI、そしてその先にあるもの
相談できる場所がある。
それだけで、人の心は少しだけ軽くなるものです。
誰にも言えなかった気持ち。
言ってはいけないと思い込んでいた本音。
それらを、一度も否定せずに「うんうん」と受け止めてくれる存在がいる。
たとえその相手が“人間ではなくAI”だったとしても、
「受け止めてもらえた」という体験そのものが、私たちに安心を与えてくれるのです。
でもChatGPTとのやりとりは、単なる“吐き出し”で終わることもあれば、
自分の気持ちを整理したり、
「本当はこう伝えたかったのかも」と思い直すきっかけになることもあります。
相談先があることで、
私たちはまた少しだけ人と向き合える余裕を取り戻せるのかもしれません。
ChatGPTは、心の安全地帯。
でも、安全地帯にいるだけでは前に進むことはできません。
だから、AIというのはそこに留まるのではなく、いつか誰かに本音を伝えるための、
“最初の一歩”のような存在なのだと思います。