Aqua Timezアルバム解説シリーズ第2回。今回解説するのは初のフル・アルバム『風をあつめて』。
今作からドラマーのTASSHIさんが加入しました。
アルバムのタイトルは、
「今まで吹いてきたいろいろな風をあつめたアルバムに仕上げた」ところから付けられたそうです。
代表曲の「決意の朝に」「千の夜をこえて」だけでなく、
全曲を通して「前へ進む力をくれる風」が吹いている印象があります。
「歩み」「マスターマインド」のような強い風もあれば、
「ハチミツ ~Daddy, Daddy~」「プレゼント」のようなやわらかい風もある。
強い追い風だけじゃなく、そっと寄り添うそよ風まで入っているから、
聴き終えるとすっと肩の力が抜け、前を向いて歩いていけるような気になれる。
そんなアルバムです。
本当に、「いろんな風」を感じられるのがいいんですよね。
うん、好きだ!!
今回も、アルバムに収録されている曲の中でも、
特に印象に残った3つの楽曲について、感じたことを自由に書いていこうと思います。
「風をあつめて」このアルバムで特に心に残った曲3選
星の見えない夜
曲名だけ見ると暗い印象を受けます。
序盤には「一人よがりな妄想」や「いつからか僕の空は狭くなってしまった」など、
孤独や不安を感じさせるフレーズが続きます。
けれど、徐々に景色に色が戻り、空がひらき、やがて満天の星空へと変わっていきます。
孤独の「星の見えない夜」から、希望の「星のきれいな夜」へ――
そのうつりかわりがとても印象的です。
アルバムジャケットの“雨上がり”の空気を感じさせてくれる一曲です。
Perfect World
「Perfect World」という曲名とは逆で、
10代の反抗期のような不安定さを思い出させてくれる曲です。
誰もが一度は抱く「本当の自分って何だろう」という問い。
ここではないどこかへ行けば見つかるような気がしていた――
そんなあの頃の感覚がよみがえります。
最後には、迷い続けた末にたどり着く「自分」。
それは決して明確な答えではなく、
少しの諦めと折り合いの先で心に根付いていくもの。
大人になった今だからこそ、「そうだったよね」とじんわり染み渡ります。
いつもいっしょ
ハッピーエンドで終わる物語のような曲。
小さな頃の幸せと別れ、そして再会。
あの日、「さよなら」してしまった「いつもいっしょ」という言葉が、
再び僕の目の前に現れた――
明るくて淡い、幸せな風に包まれるような感覚にさせてくれます。
「Perfect World」の次の曲だからこそ、「こんな風もいいなあ」って思います。
おわりに
このアルバムには、背中を押してくれる風も、
そっとそばに寄り添ってくれる風も入っています。
日によって、必要な風は変わります。
また別の日には、別の風を選べばいい。
『風をあつめて』は今日の自分に合う風を、静かに選ばせてくれる大好きな一枚です。